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日本トゥースフレンドリー協会は口腔保健の推進を目的とした非営利団体です。

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国際トゥースフレンドリー協会総会会議報告Toothfriendly International Association meeting report

2012年3月29日

日本トゥースフレンドリー協会 会長 山田 正



 
写真1
国際トゥースフレンドリー協会の総会(理事会を兼ねる)は2012年3月29日、バーゼルのSchützenhaus レストラン(写真1)を会場として行われました。

 参加者は以下の通りです。
スイストゥースフレンドリー協会 (Prof. Tuomas Waltimo)
トルコトゥースフレンドリー協会 (Dr. Seyhan Gücüm)
タイトゥースフレンドリー協会 (Dr. Thongchai Vachirarojpisan)
ドイツトゥースフレンドリー協会 (Prof. Stefan Zimmer)
韓国トゥースフレンドリー協会 (Prof. Chang Yeon-Soo)
日本トゥースフレンドリー協会 (Prof. Tadashi Yamada)
Roquette Frères (Alexandre Clement, Daniel Wils)
Cargill (Peter De Cock)

 理事およびスタッフメンバーとして
Prof. Bernhard Guggenheim (国際トゥースフレンドリー協会会長)
Dr. Hans-Caspar Hirzel (国際トゥースフレンドリー協会理事)
Dr. Albert Bär (国際トゥースフレンドリー協会事務局長)
Kati Weiss (国際トゥースフレンドリー協会 Project Manager)
Hanni Mathis (スイストゥースフレンドリー協会 Project Manager) 
 
総会の様子

定数を確認後、Bär事務局長のイントロダクションと活動報告で、会議が始まった。国際トゥースフレンドリー協会新たなメンバーとして参加したものは以下の通りであったと報告された。

Synovation (Thailand), Wagott (China), NaturaLife (Korea),
Ragolds (Germany), Tereos Syral (Belgium) , Wrigley (Switzerland)

  table top sweetersとして、ステビアを使ったものが韓国で販売されるようになった(Wrigley社より)。
 table top sweetersとして、ステビアを使ったものが韓国で販売されるようになった(Wrigley社より)。
 EFSAで協会のロゴを使用することが認められた。しかし、“Consumption of foods/drinks with <代用糖名> instead of sugar contributes to the maintenance of tooth mineralization.” という表示をすべきとのことで、この点に問題があるので、できれば、Toothfriedlyと言う表現だけで済ませらえれるよう努力を続けていきたいとのこと。さらに、「歯に信頼マーク」そのものは、少なくとも、2022年まで使用可能であるとのこと。
 新たなテストセンターとして、北京のセンターは2011年の11月にringテストを終わり、2011年12月より、検査開始を許可された。あらたに、Witten/Herdecke(ドイツ)にもテストセンターが認可され、Zimmer教授に認可証が手渡された(写真2)。
  
写真2
 
バーゼルの名所 赤い市庁舎
 2010年および2011年の財政報告が全会一致で承認された。
 2012年の活動について種々の議論がなされた。

 Bär事務局長より、ルーマニアでの国際トゥースフレンドリー協会の活動に協力する女性医師のことが、報告された。これに対し、Guggenheim会長より、トゥースフレンドリー協会の活動は基本的にボランティアであり、報酬を支払うべきではないとのコメントが出され、Bär事務局長との議論のやりとりがあったが、今後、検討する課題であるとした。
 中国での状況が報告され、中国ではリグリーがチュウインガムが最も多く流通していることが報告された。中国のトゥースフレンドリー協会をより公式的な状態にすべきではないかとロケットのWilsからの問いかけがあった。Bär事務局長からは、今の状態で、長国の状態をよ公式的するには、財政的なリスクがあるとの答えがあった。
 スイスでのテストセンターをリードしてきたImfeld教授は、今年引退することが報告され、その後のテストセンターの運営について議論されたが、スイスの評判を継続することが必要であるので、できる限りテストセンターを維持する方向で努力することが確認された。  
バーゼルを流れるライン川

レマン湖とアルプス 
 Guggenheim会長より、現在のテレメトリーの方法は30年以上も大きな改善がされていないので、この方法を改善する努力をすべきであるとのコメントがあった。

 山田より、テストの基準のうち、酸蝕症についての基準が厳しすぎる現状を改善すべきだと提案した。しかし、Bär事務局長からは、現在のところその基準をしっかり決める論文がなく、そのような論文をつくる努力をすべきであるが、それには時間が必要であるとの答えがあった。

 ロケットのClement氏より、次回の総会では、テストセンターの問題についてより集中した議論をすべきだとの提案があり、多くの参加者は同意した。

 以上の議論の結果、2012年の活動計画と予算は全会一致で承認された。
 続いてトゥースフレンドリー協会の活動報告が、タイ、トルコ、日本、韓国からなされ、閉会となった。

      

2009年3月17日

   国際トゥースフレンドリー協会総会報告        日本トゥースフレンドリー協会会長 山田 正

 去る3月17日(2009年)、スイス・チューリッヒのチューリッヒ大学歯学部で、国際トゥースフレンドリー協会の総会が行われました。

 会長のグッゲンハイム教授、ドイツ、日本、韓国、トルコなど各国部会、会員企業の代表などが出席し、事務総長のベール博士が議長を務めました。

 定足数を確認の上、2007年、2008年の会計報告が行われました。世界的な不況の中、国際トゥースフレンドリー協会の財政状況も厳しいものがありますが、この中で議論されたのは、協会の会費の問題です。基本的な会費が500ユーロと言うのは安すぎるのではないかと言うことです。大企業と中小企業が同一の会費を払う問題、ことに、発展途上国の企業では、先進工業国と同額の会費を支払うと負担が多すぎることが説明された。、また、「歯に信頼マーク」を使うことに対するバリアーを高くしたくないこともあり、事務局として、会費の設定については、ロイヤリティーの上限設定を含め、多少の柔軟性をもって扱わせて欲しいと言うことで、了解されました。日本トゥースフレンドリー協会でも考慮しなければならない問題かも知れません。

 グッゲンハイム会長から、糖アルコールメーカーの原料の袋にも「歯に信頼マーク」を使うべきではないかとの示唆があったが、企業会員からは、ラベルをつけることには、複雑な問題があり、現実的には困難であるとの意見がありました。

 このような議論の末、2007年、2008年の会計報告は了承されました。

 続いて2008年の業績についての報告があり、トゥースフレンドリー協会として、その科学的根拠を論文にして発表することを計画しながらなかなか実現に至らないのはなぜかとの質問がありました。財政、人員的な問題でなかなか実現できないことが、グッゲンハイム会長よりありました。しかし、これがないことによりEFSA(European Food Safety Authority )などから、100%キシリトールチュウインガムなどについて、問題の多い報告がなされることになるとの指摘があり、引き続き論文の発表を計画に盛り込み、努力することが承認された。

 続いて2009年の計画について議論された。再び、EFSAの100%キシリトールガムについての不適当な見解が議論され、EUの科学委員会(米国FDAでも同様に)で、齲蝕予防については、キシリトールを含む全ての糖アルコールが同等であると結論されているのに、キシリトールガムだけを特別扱いしたEFSAの見解に対して、修正を求めていくとの事務局の方針を支持した。

 また、本年6月には、テストセンターを中国に開設する予定であること、Zimmer教授により、ドイツにもあらたにテストセンターを開設する計画を行っていくことが報告され、これを了承した。

 最後にMarthaller名誉教授を本会の名誉会員とすることが事務局より提案され、全会一致でこれを了承した。

1998年11月12日~13日

日本トゥースフレンドリー協会 会長 山田 正

 
ライン川とバーゼル協会
 今回の会議はライン川の流れるスイス、フランス、ドイツの国境の町、バーゼルの郊外で開催されました。バーゼルの空港はフランス領にあり、フランス領への出口とスイス領への出口が別々にあります。スイス領の出口を出ると空港からスイス・バーゼル市内までは、高速道路を検問なしで行けますが、鉄道のバーゼル駅はドイツ駅とスイス駅があるというややこしい町です。
 一日目は、各国の代表が参加して国際トゥースフレンドリー協会将来計画委員会(TSI Planning Committee)、二日目には、さらに企業会員代表が加わって助言委員会(Advisory Coucil)がありました。審議内容はほとんど共通しておりましたので、一括して報告します。

今回討議の二つの大きな問題は、
 (1)ロイヤリティーの変更
 (2)アメリカ合衆国でのトゥースフレンドリー協会の設立
についてでした。
(1)ロイヤリティーについて
 前回の会議で、国際協会では、これまでの売上重量当たりの課金システムから、売上金額当たりの課金システムに変更することを提示しました。しかし、これにはいくつかの問題があることが判明しました。まず、課金する売上金額を卸価格に設定するか、末端価格に設定するかの問題がありますが、いずれの価格も正確に把握することが困難なことがわかりました。種々論議の結果この方法の採用は今回は見送ることにしました。
 また、国際協会の財政がかなり厳しいこともあり、ロイヤリティーの値上げの問題も討議されました。値上げした場合、ロイヤリティーを多く払っている企業にとっては、かなり大きな負担増になりますので、上限を設けることも検討されましたが、これについても、国際的な企業では、各国での売り上げ毎に上限を設けるのか、トータルとしての上限を設けるのか問題が多く、結論を得るには至りませんでした。
 
会議b\の模様
 バーゼルのケーキ屋さん
(Dentist Friendly?
(2)米国でのトゥースフレンドリー協会の設立と各国の情勢
 さて、アメリカでのトゥースフレンドリー協会の設立問題は、各企業の思惑、政府関係機関や米国歯科医師会との関係等が複雑に絡み合い、一筋縄ではいかないようです。そのための運動には、ベール博士の旅費などでかなりの費用がかかります。しかし、アメリカでのトゥースフレンドリー協会の設立は、他国への影響が大きいとのことで、その働きかけは継続することにしました。その経費の捻出には、引き続き、原料メーカーの寄附を仰ぐこととしました。
 昨年より、英国での活性化のため、小売商(retailer)を通して、「歯に信頼マーク」付き製品の増加を働きかけてきました。かなりの成果は期待される段階にきたものの、具体的な効果が上がるまで後一歩という段階であり、小規模ではあるが引き続き支援を続けることにしました。
 
もっとも成果が上がっているのはスペインです。新聞、雑誌、テレビなどマスコミ・ミニコミを通しての活動が成果を上げ、チューインガムの45%が一気にシュガーレスになり、「歯に信頼マーク」をつけたものも15%に達しています。現在も伸び続け、先行きが期待されています。また、トルコでも42%のチューインガムがシュガーレスになるなど、トゥースフレンドリー協会の活動が順調に伸びています。
 国際協会としては、1999年には、有望な発展先として、メキシコ、台湾、ブラジルなどにも焦点をあてて、活動してゆくことしました。
 

 バーゼルのお菓子屋さん
(dentistfriendly?)
 会議場
Landgasthof Ochsen
と金周煥博士
 (3)問題点
期待していた韓国での伸びが、アジアの経済危機により、期待はずれとなったこともあり、国際協会の財政もかなり厳しい状態です。
 日本のみならず、各国で科学的根拠のない歯に安全マークの出現やら、「歯に信頼マーク」の無断使用などもあり、法的な対抗措置に費用もかかります。日本を含む各国での商標登録の更新などトゥースフレンドリー協会のシステムの維持費も大変なようです。
 しかし、他の多くのシステムが泡のように出没しては消えて行く中で、しっかりした科学的根拠に基づいて行っているトゥースフレンドリー協会の堅実さは、各国の活動メンバーに大きな自信として根づいているようです。
 今回は、韓国の口腔保健協会会長の金周煥先生も、高齢にも関わらず元気に姿を見せ、韓国での活動に揺るぎない自信を示しておられました。
 (4)余談
 この機会を利用して、バーゼル郊外のBinningenにある国際トゥースフレンドリー協会本部を訪れました。
 Bioresco社の建物の2階にある事務局は、コンピュータと書類それに各国から集められた「歯に信頼マーク」付き商品やパンフレットで溢れていました。さながら、トゥースフレンドリー協会博物館と言った感じです。日本からの商品パンフレットも多くありましたが、もっと多くの資料を送らなければと思いました。
 ベール博士には、自宅で家庭料理のチーズフォンデューをごちそうになり、バーゼルの街を案内してもらいましたが、ヨーロッパの伝統が残る静かな街で、デジカメのメモリーはあっという間に一杯になってしまいました。
 
国際トゥースフレンドリー協会の
本部で事務局長ベール博士
 
ライン川とバーゼルの街(1)
 
ライン川とバーゼルの街(2)

1998年2月11日~13日

 日本トゥースフレンドリー協会  会長 山田 正
    去る2月11~13日、スイス・チューリッヒにおいて国際トゥースフレンドリー協会の各種会議が行われました。
 2月11日は、四つのテストセンターの代表による「歯に信頼マーク」を付けるためのテスト方法の基準を検討する会議(私は、阿部助教授の代理として出席)、12日は、各国のトゥースフレンドリー協会とアクショングループ(協会はないが国際協会が直接管理する各国の活動拠点)の代表による計画委員会(TSI planning Committee)が行われました.最終日の13日は、常任理事会に相当するPresident Council Meeting(グッゲンハイム会長、ドイツのBossman教授、英国のCraig教授、韓国の金教授と私の5名によりにより構成)、会員企業を含め助言を行うTSI Advisory Council Meeting、そして最後に、各国の協会代表で構成される国際トゥースフレンドリー協会総会が行われました。
 まず,11日のテストセンターの会議について報告します.

 今回は、厳しすぎる酸蝕症の試験を科学的根拠に基づいて改訂することが大きな目的でしたが、この検討をしていたZappa教授の父上が前日に他界され、欠席したため、次回まで延期されました。

 前年に行われたRing Test、すなわち、各センターで同じサンプルで盲検を行った結果が報告、検討されました。4つのサンプルについて、すべてのセンターの結論が一致してことは、この試験方法の信頼性を確認する意味で大きなことでした。
 
会議の開かれたチューリッヒの町並み
  この中で、すべてのテスト・センターで歯垢の pH が5.7以下に低下するので「歯に信頼マーク」が付けられないとされたキャンディーが、実はシュガーフリー(すなわち、糖アルコール以外の単糖類、二糖類の含有量がが0.5%以下のもの)であったことが披露されました。これは、シュガーフリー、シュガーレスの製品が必ずしも歯に安全ではないことを示す重要な例ですので、右図にその結果を示しておきます。
 
 
 最近、粒の小さい製品(一般に香料が強い)が多くなってきたので、これをテストするときの最小重量について議論しました。その結果、一回に0.5g以上の量を摂取することに決まりました。また、日本での適応を検討している飲料については、2mlで洗口してしてテストすることとなりました。

 
国際トゥースフレンド
リー協会の事務局長
ベール博士
 二日目以降の会議は、話題が重複しますので一括して報告します。
 現在、国際トゥースフレンドリー協会は、米国で協会を設立すべく多くの活動を行っています。すでに、一昨年は、電極内蔵法で歯垢の pH を5.7より低下させないとのトゥースフレンドリー協会の基準が FDA(米国食品医薬品局)の基準として採用され、昨年には、このような製品に「歯に信頼マーク」を付けることが認可されました。しかし、本格的な活動をするためには、米国にトゥースフレンドリー協会をつくることが重要であり、そのために、国際協会の事務局長、ベール博士が多大な努力を払っています。
 また、英国での「歯に信頼マーク」付き製品が伸び悩んでいるため、専門小売店、仕入れ業界を通じての広報活動に対して、国際協会は大きな支援をすることにしました。
 このような活動をするためには、多くの資金を必要とします。

 国際協会の資金の多くは、これまで、素材メーカーからの寄附に多くを依存してきました。しかし、それだけに頼っていることにも問題があり、ロゴ使用料(ロイヤリティー)をかなり増額すべきではないかとの議論が、全会議を通じて活発に行われました。
 ことに、小さい、重量の少ない打錠の菓子にロゴマークを付けることが多くなってきたため、事実上のロゴ使用料の値下げになっている現状を打開すべきだとの議論が多くありました。
 そこで、これまでの売り上げ重量当たりの課金から、売上高当たりの課金にする方が合理的だとの意見が大勢を占めました。
 
 
会議の開かれたホテル
(Hotel Zurichberg)
  しかし、日本協会がこの方針を踏襲して売上高の報告を企業に求めることには問題があると考え、ロゴ使用料の課金の方法は、各国の協会が独自の方針で行えることを確認してもらいました。実際、本年度の総会では、企業会員からは売上高当たりの課金にすることは、難しいとの意見が出され、日本協会は、当面、重量当たりの課金の方針で行くことにしました。

 協会をもたない、アクショングループで活動する国では、国際協会の基準で課金されることになります。しかし、ロゴ使用料をいくらにするかについては、議論がまとまらず、そのため、今年11月に再度、総会を開催し、審議することになりました。


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